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概要

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琉球大学 工学部 工学科 エネルギー環境工学コース准教授 近藤 了嗣(r-kondou@tec.u-ryukyu.ac.jp)洗濯機で繰り返し洗濯・再利用可能な防疫マスクの開発 近藤研では、例年、金属多重結晶のすべり変形と転位の運動・蓄積のマルチスケール解析、及び、弾塑性変形と相変態現象のマルチフィジックス解析の研究を行っているが、今春期はCOVID-19の影響から急遽、教育研究活動だけではなく、社会貢献活動の一環として洗濯機で繰り返し洗濯・再利用可能な防疫マスクの開発に着手した。なお、準備段階の三月時点は、家庭用マスクだけでなく、医療用マスクの原材料の流通も停滞しており、品薄状態だったことに注意を要すると共に、本原稿執筆段階の九月とでは事情が異なることに注意を要する。ここでは、本課題に関わる前学期中のオンライン講義や研究指導を通して得られた結果を述べる。 ここでは、複雑な数学モデルや化学式の記述は省略し、概要のみ述べる。そもそも、防疫マスクの機能面に関しては、マスクの繊維の隙間寸法に対して、ウイルスの寸法が過小であることから、COVID-19禍初期段階から懐疑的見解も多数、述べられている。しかしながら、継続的な文献調査や試作品の試行錯誤の繰り返しから得られた見解は、以下、二点に集約される。① 二種類以上の布地を貼り合わせた場合、静電気の働きにより防疫効果が期待できる。② マスクの装着時に鼻から頬に渡ってフィットしている場合、防疫効果が期待できる。これらを基本的な製品開発の考え方として、講座の卒業研究課題、コースの専門選択科目であるプロジェクトマネージメント演習の協働課題とした。 最初に、身も蓋もない話になるが、医療機関では手作りマスクの寄付は受け付けていない。この点に関しては本学附属病院も例外ではない。COVID-19禍初期、手作りマスクの寄付に関する報道は多数あったが、医療機関の実情と乖離した内容であったことが、早期の段階で明らかになった。このため、社会貢献活動としての防疫マスクの供給活動に関しては、本学の卒業生でもある有限会社レコ琉球取締役 百田行宏氏から紹介戴いた「ゆいマスクプロジェクト」に関わらせて戴いた。また、実際に附属病院に対するマスク寄付の実現の際には、玉城史郎教授にも仲介にご尽力戴いた。ここに記して感謝の意を述べる。よって、防疫マスクの開発課題は、学内の教育研究活動として継続する結果となった。学生の発案により、3Dプリンターによるプラスチック製品の試作も行われたが、洗濯によって破損するなどの理由から、結局、型紙を用意し、表地、裏地共に二種類二枚一組を縫い合わせて立体形状に仕上げる方法に落ち着き、結果を公開している。また、ポケットを作成してフィルターを併用することで、更なる防疫効果を期待できることが確認された。また、一般の防疫マスクは耳に掛ける形式とするが、フックを用いて後頭部の位置で留める形式にした場合、長時間装着できることが確認された。 代表的な防疫マスクの型紙形状を提供して結ぶ。寸法調整が肝要である。連絡先: 琉球大学 工学部 工学科 知能情報コース玉城史朗・吉田たけお〒903-0213 沖縄県中頭郡西原町千原1番地TEL:098-895-8720(玉城史朗)・098-895-8726(吉田たけお) FAX:098-895-8727(知能情報コース事務室)MAIL: shiro@ie.u-ryukyu.ac.jp(玉城史朗)・tyoshida@ie.u-ryukyu.ac.jp(吉田たけお)1.はじめに2.基本的な考え方4.おわりに3.結果と考察図1 代表的な布マスクの型紙形状19 OKINAWA INDUSTRIAL FEDERATION NEWS