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概要

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琉球大学工学部社会基盤デザインコース・助教 田井 政行TEL:098-895-8659 E-mail : tai@tec.u-ryukyu.ac.jp無線加速度センサを用いた構造物のモニタリング連絡先: 琉球大学工学部工学科電気電子系内米須 章(電気システム工学コース)/山里 将朗(電子情報通信コース)〒903-0213 沖縄県中頭郡西原町千原1番地TEL.米須 章(098-895-8692)・山里 将朗(098-895-8679) FAX.098-895-8708(電気電子系事務室)【E-Mail】kouenkai-office@ml.tec.u-ryukyu.ac.jp 近年、MEMS(Micro Electro MechanicalSystems)技術の発達に伴い、外力に対する構造物の応答を計測する手法として、MEMS加速度センサを用いた手法があります。MEMS加速度センサは、比較的安価で、小型という特長を有しており、塗膜上からマグネット等で容易に設置・取り外し・再設置が可能です。また、不動点を必要としないため、計測位置を任意に設定できます。さらに、無線機能を有するセンサを用いることで、センサデータの伝送ケーブルの設置を必要としないため、設置コストの観点で好ましいなど多くの利点を有しています。この加速度センサより得られるデータは多くのことに活用できます。例えば構造物の振動モードや固有振動数、減衰比といった特性です。これらは構造物の振動特性を把握する上で必要不可欠なものです。 一方、加速度は速度の一階微分、変位の2階微分したものであるため、理論的には、下式に示すように加速度記録の2階積分により変位応答が得られる。δ:変位、α:加速度、v0:初期速度、δ0:初期変位、T:時間である。 加速度センサにより得られる計測データは、ノイズ成分を多く含むため、積分時に積分誤差が増大する可能性がありますが、積分時に適切な境界条件や計測データの前処理を行うことで精度良く変位応答を求めることが可能です。 例えば照明柱の溶接部では、渦励振に伴う振動によって写真1に示すような疲労き裂が発生します。このような構造物の疲労寿命の推定には、写真2に示すようなひずみゲージを設置して行われますが、ひずみゲージによる計測は、構造物の塗膜等の除去やワイヤリング等の設置の時間や手間を要するため、設置工事はコスト高となってしまいます。そこで、無線加速度センサを用いて加速度の計測、構造物の変位応答算出、対象位置の応力推定を行うことで、簡易に寿命推定を行うことができます。 計測に用いた無線加速度計とこれより得られた照明柱基部の応力の計測結果と推定応力の比較例を写真3と図1にそれぞれ示します。これよりひずみゲージでの計測結果と加速度データより推定した結果は概ね一致しており、加速度データより応力推定が可能であるといえ、これを用いることで渦励振時の照明柱の疲労寿命を推定できるといえます。写真1 照明柱の疲労損傷例写真3 無線加速度計の計測状況写真2 ひずみゲージ図1 ひずみ計測結果と加速度計より推定した結果の比較▲加速度より推定した応力ひずみ計測応力OKINAWA INDUSTRIAL 12FEDERATION NEWS