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概要

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連絡先: 琉球大学工学部後援会事務局天久和正(エネルギー環境工学コース)/神田康行(機械工学コース)〒903-0213 沖縄県中頭郡西原町字千原1番地TEL.天久和正(098-895-8624)・神田康行(098-895-8631)FAX.098-895-8636(機械工学コース・エネルギー環境工学コース 事務室)【E-Mail】kouenkai-office@ml.tec.u-ryukyu.ac.jp熱応力の解析について琉球大学工学部後援会からのお知らせInformation1.はじめに 弾性学は等温状態での弾性域内の応力とひずみの関係を取り扱っています。外力を受けなくても温度変化を受けて自由膨張が抑制されると物体内部に応力が生じ、それを熱応力といいます。そのため熱応力は伝熱学(主に熱伝導)と弾性学の両方の知識が必要となります。具体的には、まず熱伝導方程式を境界条件のもとで解いて温度分布を求め、つぎにつり合い方程式を境界条件のもとで解いて応力とひずみ、変位を求めることになります。時間的に変化する問題を取り扱う場合は初期条件も必要となります。2.連成項と慣性項 より厳密に取り扱う場合には連成項と慣性項について考える必要があります。 ふつうの熱応力の解析では温度と応力は分けて行っていますが、熱伝導方程式で取り扱う物体は剛体(変形しない物体)であり、つり合い方程式で取り扱う物体は弾性体(変形する物体)のため、取り扱う対象が異なることになります。そこで温度場とひずみ場間の連成を考慮したものが連成項であり、どちらも弾性体を取り扱うことになりますが、熱伝導方程式とつり合い方程式は独立して解くことはできず、連立させて解く必要があります。 また急激な温度変化を受ける熱衝撃においては慣性項が無視できないことがあり、つり合い方程式に慣性項を含めた運動方程式を考える必要があります。この場合は熱伝導方程式と運動方程式は独立して解くことができます。 連成項と慣性項は物理的にみると異なった修正項とみることができ、それぞれ別個に取り扱うことができますが、厳密にはそれら2つの項を同時に取り扱う、いわゆる動的連成熱応力を考えることになります。3.一般化された熱弾性 さらに物理的に矛盾のない取り扱いを必要とする場合があります。通常の熱伝導方程式で取り扱っているのはフーリエ則ですが、これは熱波の速度が無限大となり、実際は有限であるため物理的矛盾をはらんでいます。そのため熱波の有限速度を考慮したフーリエ則、すなわち修正されたフーリエ則を用いた熱伝導方程式を用いて解析するものが、一般化された熱弾性(generalizedthermoelasticity)です。修正されたフーリエ則を用いなくても他の基礎方程式に修正項を加えることによって熱波の有限速度が得られるとした理論があり、現在ではその他にもいくつかの理論が提案され解析が行われています。4.まとめ 熱応力を解く際のいくつかの考えを示しました。特殊な環境下でなければ、それらの修正項の影響は十分無視できる程度ではありますが、どのような場合に無視できないのか、どの項の影響が大きいのかを明らかにすることも重要であると思い、地道にコツコツと研究を行っています。具体的な計算例については機会があれば紹介したいと思っています。古川 俊雄(琉球大学工学部工学科エネルギー環境工学コース・教授furukawa@teada.tec.u-ryukyu.ac.jp)OKINAWA INDUSTRIAL 12FEDERATION NEWS