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概要

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琉球大学工学部工学科社会基盤デザインコース・准教授 富山 潤 沖縄県は亜熱帯海洋性気候(高温多湿)かつ島嶼地域ということから,塩害の厳しい環境である.このような塩害環境におかれた構造物は,他府県に比較し,経年劣化が早いことが知られている.また,海から運ばれる塩分(飛来塩分)に起因した塩害劣化は,飛来塩分が付着しやすい部位・部材の劣化が早く進行する.このような背景のなか,構造物表面の付着塩分量の分布を把握(メゾ塩害環境)することは適切な維持管理を行う上でも重要なことである.しかし,すべての構造物の表面付着塩分量を調査することは困難であり,付着塩分量を予測可能なシミュレーション手法の開発の要求は高い.ここでは,沖縄本島北部のコンクリート橋梁を対象に実施した付着塩分量調査と本研究室で開発した飛来塩分の移流・拡散・付着シミュレーション手法の結果比較を紹介する. 調査は,沖縄県本島北部にあるコンクリート橋を対象に,両端部・中央部の主桁両側面および下面の付着塩分量をガーゼ拭き取り法により拭き取り・分析した(図-1参照) また,本研究室では,飛来塩分の移流・拡散・付着を解析可能な方法として,ランダムウォーク法(RW法)を提案し,本橋梁の付着塩分量評価に適用した.RW法は飛来塩分を粒子と扱い,構造物周辺の風速場と粒子自身の拡散特性により粒子の移流・拡散・付着を解くことができる手法である. 図-2にRW法のシミュレーション結果を示す.また,図-3にガーゼ拭き取り法とRW法の比較,図-4に両者の相関関係を示す.これらの図より本手法はコンクリート表面の付着塩分量を精度よく評価可能であることがわかる.また,図-5に付着塩分量の3次元可視化の例を示す.本手法は3次元的な付着塩分量の分布を評価可能であることがわかる.本手法は,構造物表面に付着する塩分量を精度よく予測・評価可能であることが示され,維持管理の有力な手法になり得ると考える.なお,本手法(RW法)は,商用ソフトウェアに導入されている.1. はじめに2. 付着塩分調査およびシミュレーション手法概要3. 結果及び考察4. おわりに連絡先: 琉球大学工学部後援会事務局天久和正(エネルギー環境工学コース)/神田康行(機械工学コース)〒903-0213 沖縄県中頭郡西原町字千原1番地TEL.天久和正(098-895-8624)・神田康行(098-895-8631)FAX.098-895-8636(機械工学コース・エネルギー環境工学コース 事務室)【E-Mail】kouenkai-office@ml.tec.u-ryukyu.ac.jpコンクリート構造物のメゾ塩害環境評価シミュレーション琉球大学工学部後援会からのお知らせInformation jun-t@tec.u-ryukyu.ac.jp図-1 調査概要図-2 シミュレーション結果(RW法)図-3 RW法と調査結果の比較(a) 0.5(s) (b) 2.0(s) (c) 30.0(s)図-5 3次元可視化例図-4 両者の相関関係OKINAWA INDUSTRIAL 10FEDERATION NEWS